健康になるための食事の知識
健康になるための食事の知識
子どもを1人産むごとに歯が1本抜けるとよくいわれます。つまり、それだけ母親は胎児に栄養を吸いとられるものというのが常識になっているのですのが、事実はそうではないことがわかってきました。
子どもの栄養と食事の権威であるアメリカのエモリー・サーストン博士は次のように言っています。「昔は胎児は母親から、最善の状態を維持するために必要な栄養を受けとるものと考えられていました。そして、母親だけがそのための犠牲になると考えられていたのです。ある点まではそれは正しいのですが、胎児は母親のなかに十分に存在していないものを適切に受けとることはできません。
たくさんの研究結果から、母親の食事が適切でなければ、母親だけでなく胎児もその犠牲になることがわかっています。逆にまた、すべての必要を満たす食事をとっている場合には、母親も胎児もともにその恩恵を受けることになります。
よい妊婦食は、流産、早産、死産、奇形児、幼児死亡、ひきつけ、てんかんなどの予防につながりますし、脳の発達をよくし、安定した神経をつくり、免疫力を高めます。
人と動物に対する研究から、適切な食事をとっていれば、母親は妊娠によって歯を失わずにすむことが確かめられています。
つまり、もしも歯を失ったとしたら、それは適切でない食事をとっていた証拠で、胎児も犠牲を強いられていたことになるのです。むろんそういう食事はよくない食事ですが、それはまた産後に母親を肥満させることもわかっていて、サーストン博士はこう言っています。
妊娠したために肥満したという女性が多いのですが、それは白い小麦粉や白米、砂糖など、精製した食品が食事に多くふくまれすぎていたせいです。
砂糖にはカロリーだけがあって必須栄養素はまったくふくまれていません。妊娠中はふだんよりも多く必須栄養素をとらなくてはならないのですから、限られたカロリーの枠のなかで必須栄養素をふくんでいない食品を多くとれば十分な栄養の摂取ができなくなります。
しかし、栄養を欠乏させるわけにはいかないので、なんとか足りるまでとるようにすると、カロリーのとりすぎになります。そして肥満する結果になるわけです。妊娠によって肥満したとしたら、相当に悪いパターンの食事と思ってよいわけです。出産したからといってそのパターンを変える人はまずいないので(ただ食べる量が少し減るだけだ)、産後肥満するのです。
ある妊婦の食事を分析したところつぎのような栄養素の不足がみられました。
肥満するまで食べているのに、それだけ不足するのだから、最悪のパターンといってよいでしょう。けれども、この女性は決して教養のない人ではありません。大学を出て栄養学も学んでおり、本人は「よくバランスのとれた 食事」をしていたつもりなのです。食事についての発言で「バランスのとれた」ということばくらい勝手気ままに使われているものはないのですが、では妊婦にとってよい食事とはどんなものかを具体的に考えなければいけません。
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