カロリーあたりの栄養素濃度を高める

アメリカでは性別、年代別の栄養調査が行われていて、とび抜けて悪い食事をとっている年代と性が明確になっています。それは男性だろうか、女性だろうか。年寄りなのか、若者なのか、子どもなのか?わかりますか?

実は、これは10代の女の子です。痩せたいという願望から、ちゃんとした食事をとらない子が多く、食事をとる子でも、砂糖製品とソフト・ドリンクとフライ料理の比率が異常なほど高いのです。

それでは必要な栄養がとれないために、当然ながらさまざまな健康上の問題が生じます。そして、健康の問題は肉体だけでなく精神にまでも及んでしまうのです。

この傾向は、わが日本の10代の女の子にもあって、ゆゆしき問題なのですが、それに自信をもって対応できる世の父親はほとんどいないのです。グルメを自任する父親は多くいても、栄養や食事の組み立てということになると門外漢です。

そこで責任は全部、母親に背負わされることになるのですが、こうした子どものよくない食習慣は、母親が幼児の時期に与えてきた食事が原因で、母親自体の妊娠中の食事が出発点になっている場合がが多いのです。

となると亭主族も、食事についてあまり無関心のままではいられないのではないでしょうか?

とくに奥さんの妊娠中の食事は一家の大問題ということになるのです。

妊婦は胎児の分まで余計に栄養をとらなくてはならないが、運動選手のようにはエネルギーを消費しないので、大幅にカロリーの粋がひろがるわけではありません。猛烈に体を動かしている運動選手ならば、ただがむしゃらに食べさえすれば相当に悪いものを食べていてもなんとか必要な栄養がとれることになるのですが、それに比べると妊婦ははるかに少ない量を食べて十分な栄養をとらなくてはなりません。それにはかなり考えた、分析的な食事をしなくてはいけません。

われわれが食事でとらなくてはならない栄養素の数は50近くもあるので、少ない量の食事でそれを十分にとるには正しい栄養学の知識が必要です。昔の栄養学の本は、栄養素の含有量を、100グラム中に何ミリグラム入っているかという数値で示していたため、あまり役に立たなかったのだが、最近の本はカロリー当たりの含有量を示しているのでわかりやくはなっています。

たとえば牛のレバーで100キロカロリーとった場合にビタミンB2 は2.6ミリグラムとれるという式になっています。

カロリー当たりの栄養素濃度の濃い食品を知っていて、できるだけそれをふくんだ食事を組み立てるようにすればよいのですが、そのパターンの食事は妊婦だけでなく、すべての人にとってよい食事となります。ただ、ひたすらがむしゃらに食べているわが国の運動選手も、そういう食事に変えれば、もっと国際的な記録がつくれるようになるはずなのです。

カロリー当たりの栄養素濃度を高くするには穀類は精製度を下げなくてはなりません。白米より五分づき、五分づきより三分づき米と、米は色が黒くなるほど栄養素濃度が高くなります。しかも、三分づき米は普通の鍋で炊くことができます。小麦粉の場合も同様で、白いパンより全粒粉でつくった茶色いパンのほうが、はるかに栄養素濃度が高い。いのです。重要になるのは豆類、野菜、加工していない生の果物、貝類で、肉類はレバーが特別の価値をもっています。

多くの研究者は妊婦が不足させがちな栄養素として、ビタミンB2(このビタミンの欠乏はつわりの原因となる)、葉酸、鉄、カルシウム、亜鉛をあげているが、そのなかで特に注意を払わなくてはならないのは鉄とカルシウムと葉酸です。

健康になるための食事の知識

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