暑い日に辛いものが食べたくなる理由

トウガラシには、食べると体がほてるような特有の辛味がありますが、それがまた料理に使うと魅力ある味になります。
このトウガラシの辛味成分は、カプサイシンと呼ばれる物質です。油に溶けやすのですが、水には溶けにく性質です。ちなみに、餃子やラーメンに欠かせないラー油は胡麻油にトウガラシのカプサイシンを溶かしたものです。このカプサイシンは、体の代謝を高め、発汗を促す作用があります。そのため、食べると体が暖かくなり、エネルギーも多く発生するので代謝がアップします。したがって、食べた後、体が軽く感じられ、動くのが楽になることも自覚するでしょう。
また、エネルギーの消費量が大きくなる結果、食べたもののエネルギーが体に貯蔵されずにすぐに使われるので太りにくいのです。辛いものを食べると元気が出るというのは、トウガラシに関する限り本当です。日本でも昔にくらべて随分なじみ深くなってきて、九州の草子明太子やキムチが日常食にとり入れられるなど、かなり幅広くトウガラシが一般的になってきました。
トウガラシは、中世までは、中南米の限られた地域でわずか利用されただけでした。それが中南米を支配するようになったスペイン人などがヨーロッパへもち帰ったことから、またたく間に世界に広がっていった歴史があります。それだけ魅力のある香辛料であったということでしょう。
その秘密はこのカプサイシンによる代謝向上作用にあります。
日本では、七味唐辛子として、江戸時代から使われてきました。とくに、うどんなどの麺類の薬味として、な欠かせないものでした。
トウガラシを加えて食べれば、熱いうどんにそれだけで体が温まるということです。 そして、興味疎いのは、トウガラシの辛味成分であるカブサイシンによる代謝向上には、熱いときには逆に、体を涼しく感じさせる効果もあることです。これは、代謝が高まると、体が熱くなって発汗が起こりますが、汗が蒸発するとともに、皮膚から蒸発熱が奪われて温度が下がり、体温もそれに伴って低下し、涼しく感じるためです。こうした効果は、実験などでも確かめられています。
気温の高い地方でトウガラシの辛みのきいたカレーやエスニック料理が好まれるのは、このような体温低下作用を利用するためです。
トウガラシのカプサイシンには、腐敗を防止する作用もあります。ただし、カブサイシンは蒸発しにくい成分なので、直接食べ物に混合されていないと効果はゼロです。糠味噌漬けの糠床にはたいていトウガラシを入れますが、これも腐敗防止を狙ったものでしょう。
韓国のキムチは、南の地域ほどトウガラシを入れる量が多くなるので赤っぽい色をしています。これに対してソウルに近い北の地域のキムチは、トウガラシの量が少なくなるので、白っぽいものが多くなります。これも、気温が高いと腐敗しやすいから、保存効果を高めるために南の方がトウガラシを多く使うためです。

食材のパワー

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