年々増え続ける「うつ」

よく眠れないなどの睡眠障害はうつの典型的な症状

増え続けるうつの原因の研究もすすむ

うつ症状を訴える人が急増しています。それを証明するのがうつ関連のデータの数値です。厚生労働省がおこなった調査によると、「うつ病・操うつ病の患者数」は、1996年43万6000人。ところが2005年になると、この数値が92万4000人と2倍以上に跳ね上がっているのです。現在、2017年時点では、112万人になっているのです。

これは医療機関で診断や治療を受けた人の数だから、人知れずうつ症状に悩んでいるというケースは、はるかに多いことが予想されます。特徴的なのは男女とも30 代、40代、50代の働き盛りの時期(女性の場合は60代、70代も多い)に、症状を訴える人が多いという点です。仕事の環境がますます厳しさを増してきたということです。

その傾向はここにきてさらに加速しているのです。まだまだ底が見えない経済不況のなかで、企業倒産が相次ぎ、当然のようにリストラや派遣切りがおこなわれ、その裏側では労働条件が過酷なものになっているんどえす。不安は募るばかりです。

  • 「うつ? 自分には関係ないな。仕事が忙しくてストレスはたまるけれど、まさか、うつなんて無縁。」
  • 「たまに気分がすぐれないことはあるけど、うつなんかとは無縁…だと思う」

ほとんどの人がそう考えているのではないでしょうか。しかし、「まさか」にも「無縁」にも、容赦なくうつは忍び寄るのです。だれもがストレスを感じさせているいま、うつは決して他人事ではなのです。「明日はわが身」の深刻な悩みなのです。それがうつの現状です。

医者が感じる実感でも、うつ症状の訴えが増えているのは間違いありません。気になるのは、若い女性に増加傾向が見られることです。うつやパニック症候群などの診断をくだされ、大量に薬を処方されているというケースが、若い女性層に増えてきているのです。それで結婚や出産をためらっていることが少なくないのです。これも見過ごしにはできない深刻な問題です。

典型的なうつ症状

さまざまな症状から、医師はうつ病の診断を下します。身体や心の変調を感じて病院やクリニックを訪れ、「最近、全然、眠れなくて、夢もよく見るんです。気分も沈みっばなしで、なにもする気にならなくなってしまって…」

などと自覚している症状を訴えると、医師は診断マニュアルと照らし合わせ、うつかどうかの判定をするという流れです。さあ、そこから治療が始まるわけですが、まず、どんな治療がおこなわれるか、ちょっと想像してみましょう。

「なにが原因か探ろうとするはずだから、当然カウンセリングということになるのでは」おそらくそう考える人が多いに違いないでしょう。

心の症状としては、文字通り、憂鬱な気分になる、気分が滅入る、ひどく落ち込むといつたものがあげられます。さまざまな場面で湧き上がってくる、喜怒哀楽の感情の起伏も乏しくなります。ふつうなら、湧き上がってきて当然の場面でも、怒りや喜びといった感情が湧かないのです。

自分に自信がなくなり、自分は価値のない人間だと考える(自己卑小感) ようになって、周囲に迷惑をかけている自分の存在が申し訳ない、足手まといになっている、という感覚(自責感)に陥るのです。不安や焦燥感も募るばかりです。

なにごとに対しても意欲がなくなり、「億劫だ」「やる気が起こらない」という状態が続きます。仕事や勉強、あるいは家事などについても、やらなければとは思うのだが、それを行動に移せません。身体が動かないのです。また、あらゆるものに対して興味を失ってしまうのも症状のひとつです。

思考にも異変が起きる。頭の回転が鈍くなり、なにかを考えようとしても、堂々めぐりを繰り返すばかりで先に進めない、決断や判断が必要なときでも、それができない、といつたことになります。

食事をしても味がわからない、砂を噛んでいるようで味気ない、ということで食欲が湧かなくなったり、性欲が低下したりするというのも、うつ症状と考えられます。身体にあらわれる症状としては、疲労、頭痛、倦怠感、頭が重い、めまい、吐き気、口の渇き、便秘、下痢などがうつ症状の典型的なものです。

うつ病を改善した実際の体験談

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