砂糖を摂ると元気が出た

力仕事に砂糖は必要

砂糖を摂ると頑張れる

砂糖は、短い休憩時間で疲労を回復させる魔法の薬でした。事実、砂糖を摂取すると、疲労感はなくなり空腹感もおさまりました。このため、産業革命期の工場主たちは、休憩時間になると、労働者に砂糖入り紅茶を提供するようになりました。

なぜなら、出がらしの味のない紅茶でも、たっぷり砂糖を入れさえすれば、労働者たちは疲労から回復して、また長時間働くようになるからです。工場主にとっては、最小限の出費で労働者を管理できたわけで、賃金を上げて労働意欲を高めるより、よほど効率的・経済的だったのです。

同様に、西インド諸島のプランテーションで働く黒人奴隷たちにとっても、サトウキビの搾りかすに含まれるわずかな糖分は、疲労回復の特効薬であり、搾りかすのわずかな甘味は、過酷な労働という現実を一時でも忘れさせてくれました。

一方、ヨーロッパの労働者たちも、「上流階級の味」である砂糖の甘みを愛し、もっと働いて賃金を得、そしてもっと多くの砂糖を購入し、心ゆくまで味わいたいと考えたのです。まさにこの点において、「安い賃金で労働者を長時間働かせたい」と考える工場主と、「砂糖を大量に摂取したい」という労働者の間で利害が一致したのです。

かくして、「砂糖入りの飲み物と砂糖入りの食べ物」の組み合わせが次々と開発されて、労働の合い間に提供されるようになり、それらは彼らの家庭にも入り込み、都市住民の食生活を根本から変えていくことになります。

イギリスの一般的家庭料理にプディングがありますが、それが広まったのもこの時期です。プディングは小麦や米から作られる伝統的料理でしたが、食味が悪く不人気でした。しかし、砂糖で甘く味付けするようになってから、あっという問に「イギリス料理ナンバーワン」の地位にのぼりつめました。砂糖がプディングを、人気料理の地位に押し上げたのです。

そして、そのプディングの成功を手本にしたかのように、当時の料理は一斉に、砂糖たっぷりのものに変化していきました。

さらに当時は、「砂糖は栄養価が高い食品である」という考えが一般的であり、栄養不足は砂糖で補えばいいとする考えも広まっていきました。当時のヨーロッパでは、砂糖は「健康食品」でもあったのです。

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