高血圧を予防するカルシウム

オレゴン医科大学の研究者が1万2000人を対象に食事の分析を行った結果、血圧の高い人はカルシウムの摂取量が少ないということがわかりました。

1万2000人を、正常、ボーダーライン、高血圧、3つのグループに分類して、食事の内容をコンピューターで分析したところ、17の栄養素中はっきり相関を示したのはカルシウムだけでした。

血圧はストレスとも関連性が高くストレスを上手に解消するために心身のリラックスが重要ではストレス解消にカルシウムが必須であることが紹介されています。

高血圧のグループの人は正常な人のグループに比して、10% ~65% もカルシウムの摂取量が少ないことがわかりました。それについて研究者は「分析したのは17の栄養素ですが、そのなかでカルシウムの不足のみが、正常と高血圧を分けているファクターでした。これまでいわれつづけてきたのは塩(ナトリウム)との相関ですが、この調査ではナトリウムの過剰よりも、カルシウムの不足のほうが、高血圧のリスク・ファクターとしてはっきり示されました。

正常な血圧の人44人と、高血圧の人46人を比較した別の研究では、正常な人が1日に平均886mgのカルシウムをとっているのに対して、高血圧の人は668mgしかとっていないという結果が出ています。この場合もやはり25% も少ない摂取量となっています。

アメリカは、カルシウムの1日当たり摂取量は成人の場合800mgです。つまり、それすらも下回っていることになります。46人の高血圧の人のうち、1日に1000mg以上カルシウムをとっているのは8人だったのに対して、正常な人のほうは44人中18人が1000以上のカルシウムをとっていました。

高血圧の予防のために最低1gのカルシウムをとるのが理想です。1日に1.5g以上を推奨しているところもあります。

57人の正常な人を対象に行った研究では、カルシウムと血圧のあいだに相関関係が見いだされたということです。そして、血圧を下げる効果がはっきり認められるのは、1日に1.5gのカルシウムの摂取をつづけた場合です。

動脈の平滑筋の細胞のなかにカルシウムがたくさん入りすぎているときには、動脈は収縮する傾向になり、血圧が上がります。

平滑筋にカルシウムをとり入れさせるのはPTHと呼ばれる上皮小体ホルモンですから、われわれはこのホルモンが出すぎると、細胞のなかにカルシウムが入りすぎる結果になると考えています。その結果として血圧が上がるのです。

一方、食事でとられるカルシウムの量が増えますと、PTHのレベルが下がります。そうすると細胞膜を抜けてカルシウムが細胞に入りこむ量が減り、動脈が開いてきます。それで血圧が下がるわけです。

つまり、カルシウムが十分にとれない食事は動脈を収縮させて血圧を高めるわけです。カルシウム源となる食品を挙げると、緑色野菜、海藻類、チーズ、豆腐、いわしの丸干し、ちりめんじゃこ、ヨーグルト、ミルクなどです。こういった食品がどれだけ食卓に顔を見せているかで、カルシウムがとれているかいないかは、ある程度わかります。

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