日本人の体質に合ったインスリン強化方法
日本人は血糖値を下げるインスリンが体質的に少ない。
日本人の体質に合ったインスリン強化方法
日本人は血糖値を下げるインスリンが体質的に少ない。
日本人に合うインスリン強化方法が見つかった
糖尿病が、私たち日本人に急増し続けています。厚労省の「国民健康・栄養調査(2018年)」によれば、糖尿病の人と、その予備群(糖尿病の可能性を否定できない高血糖の人たち)は、合計で約3500万人と推計されています。予備軍も含めるとさらにこの数値は驚く数値になります。
糖尿病の患者数だけを見れば、1997年の690万人から6割近くも増え、2012年は950万人(。現在、その数は1000万人を超えていると考えられます。糖尿病の予備群も、そうでない人も油断はできません。糖尿病は、食事でとった糖貿を体内でエネルギーとして利用するしくみ(糖代謝)がうまく働かなくなり、血韓中のブドウ糖の量が慢性的に多くなる病気です。
では、なぜ血液中のブドウ糖が慢性的に増えてしまうのでしょうか。
その原因のカギを握るのが、すい臓のラングルハンス島という部位にあるβ細胞から分泌される「インスリン」というホルモンです。インスリンなどのホルモンは、血液中に微量しか含まれませんが、強力に作用して私たちの体の健康を維持します。
ご飯などの食事からとった炭水化物(糖質と食物繊維の総称)のうち糖質は、胃や腸で分解されてブドウ糖になり、血液中に送り込まれます。そしてブドウ糖は、全身の細胞に運ばれ、エネルギーとして消費されます。このとき、ブドウ糖を細胞に送り込む橋渡しの役目を果たすのが、インスリンです。
エネルギーとして消費されず、インスリンと結合した余分なブドウ糖は、グリコーゲン(貯蔵多糖)になって肝臓や脂肪細胞などに蓄えられます。つまりインスリンは、この作用も促します。
一方、血液中のブドウ糖が不足すると、膵臓のランゲルハンス島のα細胞からグルカゴンというホルモンが分泌されて、肝臓に蓄えられていたグリコーゲンをブドウ糖に分解して血液中に供給します。
このようにインスリンは、グルカゴンとともに、血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)を調節しているのです。
ところが、何らかの原因で、インスリンの分泌量が減ったり、その働きが惑くなったりすると血液中にブドウ糖がだぶつきます。そして、この高血糖の状態が続くことによって糖尿病を発症します。
糖尿病は、発症する原因によって、いくつかのタイプに分けることができます。
よく知られているのが、Ⅰ型糖尿病とⅡ型糖尿病という分け方です。
Ⅰ型糖尿病は、主に免疫の異常やウィルス感染などによって、すい臓のβ細胞が破壊され、インスリンがほとんど分泌されなくなるタイプ。Ⅱ型糖尿病は、食べすぎや運動不足などの惑い生活習慣によって発症するタイプです。日本人には2型糖尿病が圧倒的に多く、糖尿病全体の95%を占めています。
Ⅱ型糖尿病はさらに、インスリンの分泌量が不足するタイプ(以下「分泌不足型」と呼ぶ) と、インスリンの血糖値を下げる働きが低下するタイプ(以下「働き不足型」と呼ぶ)に分けることができます。
分泌不足型は、なんらかの原因でインスリンそのものが作られにくくなり、分泌量が減少します。働き不足型は、インスリンの効きが惑くなるタイプで、一般には「インスリン抵抗性が高いタイプ」といいます。働き不足型が感化することで、分泌不足型になるケースもあります。
私たちの体内で血糖値を下げる働きをするホルモンは、インスリンだけといっていいでしょう。したがって、血糖値を下げて糖尿病を克服するには、インスリンの分泌不足と働き不足の両方、つまり「インスリン不足」を改善することが不可欠なのです。
日本人にはインスリンの分泌不足型が多く、欧米人には働き不足型が多いことがわかっています。実は、日本人のインスリン分泌能力は欧米人の50%程度にすぎない、といわれているのです。
働き不足型が多い欧米人から説明しましょう。インスリンには、使われなかった余分なブドウ糖を脂肪細胞などに蓄えるのを促す作用があります。そのため、インスリンが十分に分泌される欧米人の場Aq 血液中の余分なブドウ糖が速やかに脂肪細胞などに蓄積されるので、太りやすくなります。
太れば、脂肪細胞は肥大化してブドウ糖を蓄えにくくなるため、血液中にブドウ糖が増えて糖尿病を発症しやすくなるのです。事実、欧米人の糖尿病は、肥満の人に多発しています。
一方、日本人はインスリンの分泌量が少ないので、血液中の余分なブドウ糖を脂肪細胞などにあまり蓄えることができません。そのため日本人は、やせている人も糖尿病になりやすいのです。
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このようにインスリンの分泌能力の低い日本人は、もともと糖尿病体質です。日本人の糖尿病は、欧米人と違って、「インスリン不足病」ともいえるでしょう。
では、なぜ欧米人と日本人では、こうした違いがあるのでしょうか。それには、数千年にわたる食生活の違いが深くかかわっています。
欧米人は、もともと狩猟民族で肉食が中心ですが、昔は肉を安定的に確保するのは非常に困難。肉を手に入れたときは、たらふく食べていました。そこで、動物性脂肪の多い食事に適応するため、インスリンを多量に分泌できるように、すい臓のβ細胞が進化してきたと考えられます。
一方、農耕民族で安定的に確保できる穀類が中心の食生活を送ってきた日本人は、1度にたらふく食べる必要がないため、インスリンが少量で十分でした。すい臓のβ細胞も、それに適応して進化してきたといえます。
ところが終戦後、日本人の食生活は欧米型に急速に変化しました。この変化にすい臓のβ細胞が対応できずに衰え、働きが低下してしまっているのです。これが今、日本人に糖尿病が急増している大きな原因といえるでしょう。
日本人のⅡ型糖尿病は、分泌不足型が約6割、働き不足型が約4割といわれ、分泌不足型が多い傾向にあります。しかし、日本の糖尿病治療では、欧米人に多い働き不足型ばかりに日を向け、肥満の解消を重視しているため、分泌不足型を見落としがちです。これが、糖尿病を克服しにくくする一因でもありました。
糖尿病は、初期段階では自覚症状がほとんど現れません。そのため軽く見て、放置する人もおおぜいいます。しかし、糖尿病が怖いのは、感化するとさまざまな合併症を引き起こすことです。
糖尿病の三大合併症としてよく知られているのは、神経障害(足の裏などがしびれ、進むと足の切断を招く)、網膜症(目の網膜傷め、進むと失明する)、腎症(腎臓を傷め、進むと腎不全を起こし人工透析が必要になる) です。しかし、合併症はこれだけではありません。
例えば、血糖値が少し高めの状態でも、ブドウ糖によってベトベトした粘度の高い血液になるため、動脈硬化(血管の老化)が急速に進みます。その結果、脳梗塞や心筋梗塞、狭心症、下肢閉塞性硬化症(足の動脈がつまる病気)といった、命にかかわる病気を招く確率が高まります。
血液中の余分なブドウ糖は、脂肪として肝臓に蓄えられるので、脂肪肝や肝臓ガンを招きやすくもなります。最近は、糖尿病の人はアルツハイマー病などの認知症になりやすいともいわれています。
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さらに、骨粗鬆症(骨がスカスカになる病気)にもなりやすいことがわかっています。糖尿病の人は、骨を作る造骨細胞の働きが低下して骨量が減少するため、骨折しやすくなります。骨折した部位ナ」(特に股関節)によっては、寝たきり生活を余儀なくされることもあるでしょう。
糖尿病による合併症を防ぐためにも、みなさんの体の中で分泌されているインスリンを強化することが不可欠です。それは自分で簡単にできることなので、ぜひ実践してみてください。