自分がどちらの糖尿病か診断する
やせ形なら分泌不足型、肥満なら働き不足型
自分がどちらの糖尿病か診断する
やせ形なら分泌不足型、肥満なら働き不足型
やせの糖尿病(分泌不足型)なら糖質を控えても意味がない
血糖値は通常、膵臓のβ細胞から分泌されるインスリンという大変重要なホルモンによって一定の範囲まで下げられています。ところが、糖尿病の人は、インスリンの分泌量が少なかったり、働きが悪くなったりすることで血糖値の高い状態がいつまでも続きます。
糖尿病を放置すると、血液中に増えたブドウ糖によって、血管や神経を傷めて怖い合併症を引き起こします。これを防ぐには、「インスリン不足」を解消することが不可欠です。
インスリン不足には、これを招く原因によって、分泌量が少ない「分泌不足型」と、効きが惑い「働き不足型」の2タイプがあります。日本人には比較的、分泌不足型が多いのですが、近年は働き不足型も増えています。
自分がどちらのタイプなのかを知れば、血糖値を上げてしまっている原因もわかります。もちろん、どちらのタイプかを厳密に区別するのは非常に難しく、2タイプを併せ持っている人もいます。しかし、大まかでも自分のタイプがわかれば原因もはっきりするので、糖尿病を克服するための有効な対策を講じることができるでしょう。
診断表の項目は、いずれも、ふだんの生活習慣に関係しています。ぜひ、自分が思い当たる項目をチェックしてみてください。
項目の1~13に多く当てはまった人は分泌不足型、11~24に多く当てはまった人は働き不足型と診断されます。では、診断表の項目について説明しましょう。
まず、1と14。体型についての項目ですが、これが自分のタイプを知る大きな手がかりとなります。やせていて糖尿病の人は分泌不足型、太っていて糖尿病の人は働き不足型と考えられます。
インスリンには、エネルギーとして使われなかった余分なブドウ糖をグリコーゲンに変えて肝臓や脂肪細胞に蓄えるのを促す働きがあります。分泌不足型の場AR 余分なブドウ糖が脂肪細胞などに蓄えられにくい、つまり内臓や皮下に脂肪としてつきにくいので、体が全体的に細身であることが多いのです。
一方、働き不足型の場合、エネルギーとして使われなかった余分なブドウ糖は、素早く脂肪細胞に蓄えられます。したがって、働き不足型の人は、体が肥満していることが多いのです。
以下、2つのタイプに分けて説明しましょう。
2~7のように、早食いをしたり、食べすぎたり、ご飯・めん類・菓子類・甘いジュースなどの糖質を過剰にとっていたりすると、インスリンは頻繁に、かつ大量に分泌されます。
こうした食生活を続けていると、インスリンを分泌する、膵臓のβ細胞がしだいに衰えてきて、その結果、インスリンの分泌能力が低下してしまいます。
ご飯などの主食を減らす、菓子やケーキ、甘いジュースをやめる、あるいは控えましょう。こうしたことを心がけるだけで、インスリンを節約することができます。
8のお酒の飲みすぎも、分泌不足を招きます。お酒に含まれるアルコールは、少量であれば血糖値の上昇を抑えます。しかし、お酒を大量に飲むと、すい炎などのすい臓病を招き、インスワンの分泌能力が低下してしまいます。
また、今はやせている人でも、親や兄弟が太っていれば自分も肥満しやすいといえます。もし肥満すれば、糖尿病を悪化させる可能性が高まると考えられます。
9、10は、遺伝的な要図です。親や兄弟に糖尿病の人がいれば、自分もその体質を受け継いで、生まれつきインスリンの分泌が不足している可能性が高いといえます。
11~13は、分泌不足型と働き不足型の両方にかかわる原因です。11のように糖尿病を発症し、血糖値の高い状態が長く続いた場A巧インスリンの働きが低下するとともに、分泌量も減ってしまいます。
12のストレスには満神的なもののほかに、活性酸素やAGEsという物質によって起こるものもあり、これを酸化ストレスといいます。AGEsは、糖質のとりすぎによって生じ、たんばく質を劣化させて老化を早めます。
強いストレスを受けると、インスリンの働きを妨げる副腎皮質ホルモンも分泌されます。これを減らすためにビタミンCなどの栄養素が使われますが、こうした栄養素が不足すると酸化ストレスが起こります。
酸化ストレスが増えればインスリンの働きが低下するばかりか、すい臓のβ細胞に悪影響が及んで分泌量も減ると考えられます。
13の喫煙も、酸化ストレスを招く要因です。
働き不足型の場合、インスリンが十分に分泌されていても血糖値は下がりにくくなります。そして血液中に増えた余分なブドウ糖は、肝臓や脂肪細胞に蓄えられます
特に日本人は、全身はさほど太ってないのに、内臓に脂肪がたっぶりつく内臓腿胴肪型肥満になりやすく、腹部だけが出っばってきます。
働き不足型の人は、15~19のように、あまり体を動かしません。そのため、ブドウ糖を消費する筋肉量が減って、インスリンの働きが低下しやすいのです。
もちろん、体を動かさないと肥満しやすいのですが、前述したとおり、これが働き不足型の原因になります。
20の睡眠不足は、インスリンの働きを低下させることが、米国Hの研究などでわかっています。
21~24の食生活も問題です。特に、野菜をあまり食べないなど偏食を続けていると、ブドウ糖の代謝を促すビタミンやミネラルなどが不足します。中でも亜鉛が不足すると、インスリンの働きが低下することがわかっています。
以上のインスリン不足を招く原因がわかったら、それを1つでも多く解消することが、とても大切です。